FAQ

杭工事 よくあるご質問

Question

建物を解体した跡地に既存杭があり、新設する杭に近いのですが、どうすればいいのでしょうか?

Answer

非常に難しい問題の一つですね。
少し話は長くなりますが、まず確認することは、以前の建物の設計図面が存在するか?です。既存の杭がどこに配置されているか(道路拡幅等があると基準点が変わるので位置があやふやになる場合あり、どのような杭径と長さか。それと工法は打撃かセメントミルクか、もしくは現場造成杭かです(杭抜き及び破砕等の工法を決めるのに必要)。杭抜きのお話は長くなるので、この回では少し横に置いておいて、新たに施工する杭の付近に支障となる杭がある場合の対処法を、経験値からお話します。既存杭が、新設する杭に完全に当たる場合は、言うまでも無く、既存杭引抜き、もしくは杭種(杭径・長さ・深さ)によって破砕になります。杭を引き抜いた後は、空隙を埋める為、砂で埋めるか、貧配合のセメントミルクを充填し置き換え処置を施し、更に杭打機が、杭を抜いた跡の上に乗って施工できる程度の地盤強度に改良します(転倒防止の為)。

難しいのは、新設する杭に干渉はしないけど、新しい杭との間隔が50㎜~300㎜と接近している場合、既存杭は抜いたほうがいいのか?という問題です。結論から言えば、「何もしないで下さい!」です。新設する杭の付近の既存杭を引き抜いたり破砕をしたりすると、引き抜いた空隙に置換処置を施しても、その孔はルーズ(軟弱)な状態になっているので、掘削スクリューは、上空20m以上のアースオーガーにぶら下がっているだけなので、どうしても柔らかい方柔らかい方へと掘削方向がずれていきます。すると大幅な偏芯になってしまい、構造計算をし直して、補強工事が必要になったり、最悪の場合、増し杭になったりします。ただし、近年多く採用されている高支持力杭の拡大球根は、一昔前の工法より断然大きいので、杭の頭は300㎜ずれていても、地下の拡大球根部で干渉する可能性もあるので、一概には言えません(設計図面の情報が威力を発揮!)。当社で過去に「え~!?これだけ離れているのにズレるのか!?」という経験をお話しすると、新設する杭面から既存杭が600㎜離れていたので、解体屋さんは当たり前のように支障杭を引き抜きました。引き抜いた孔も砂を埋めて置換処置を施しました。さて我々の出番ということで、杭工事を開始しました。ところが、その支障杭のあった付近の新設杭を施工中、どんどん600㎜離れている既存杭を引き抜いた方向へ、掘削スクリューが逃げていきます。どうしても逃げていきます。最終的に引き抜いた孔の置換された砂が、新たに掘削した孔へ崩れて行き、最終的に800㎜もずれてしまうという信じられない現象が起こったのです。当然その場所の杭は増し杭となり、お金も工期もかかってしまいました。似たようなケースで液状化対策の砂利パイル(セーフコンポーザ等)も同じです(さらに高止まりの危険あり)。ただし、このケースは地質との関係もありますし、埋戻したものが砂では無く、貧配合のセメントミルクを充填し、十分強度が発現されるまで時間を置けば、もう少し何とかなったかもしれません。結局、コンクリートパイルを引き抜いても、セメントミルクを充填してしまうので、鉄筋無しの柱状改良杭が出来上がってしまいます。

もう一つ。新設する杭に、ごく一部の部分が既存杭と干渉してしまう場合は、出来るだけ設計許容量の許す限り、抜かないで偏芯を前提にした構造計算をおすすめします。例えばそこの部分の杭径を大きくしたり、小さくして既存杭を挟んで2本打つなどです。この問題は非常に難しいので、既存杭の正確な位置、杭種、工法を把握し、ゼネコン、メーカー、設計、構造、基礎屋と一体になって対処するのが一番望ましいです。

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