私達は子供の頃から親や学校の先生、働く職場で「挨拶をしなさい」と言われて育ってきました。そして「挨拶」はいつしか義務的な位置付けになり、なんとなく挨拶をしなければならない「モノ」になりました。ですが義務化された挨拶には「心」がこもっていません。ただの形骸化された一つの社交辞令になってしまいがちです。

　日本語の挨拶言葉は沢山あります。例えば「おはようございます」・「こんにちは」・「ありがとうございます」・「すみませんでした」・「お疲れ様でした」・「お先に失礼致します」など、日頃の生活シーンで様々に使い分けをして使用しています。実は、この日本語の挨拶言葉には奥深い、相手を思いやる素晴らしい「感情」が込められた「言霊」なのだとも言われています。言霊とは簡潔に言えば、自分の「想い」が言葉に乗って相手の「心」に伝わるという意味です。挨拶言葉の意味を一つ一つ説明すると長くなるので割愛致しますが、形だけの「義務化された挨拶」では無く、常に相手に対して「感謝」の「想い」を「込めて」挨拶をすれば、相手が感動する挨拶に変わります。その対象はお客様は勿論の事、弊社を縁の下から支えていただいている企業の皆様もその対象です。取引銀行やマシンメーカー、修理店、ガソリンスタンド、商社、運送業者等々多岐に渡る方々の御協力の御陰で会社が運営出来ているのです。加えて一番身近な場所で支えてくれる家族、そして社員同士も勿論です。これこそコミュニケーション能力の基本中の基本だと考えています。

　挨拶は先ほどの安全第一主義にも大きな影響を及ぼします。挨拶一つで現場のお客様も含め、杭工事に携わる人全員が「心を通わせた」一つの強力なチームに進化します。気持ちの通い合う明るい雰囲気の現場であれば、例え危険の芽があってもお互いに声を掛け合い、早期解決が出来ます。これこそ大難が小難に、小難が無難になっていく事だと考えます。心の籠った挨拶は勿論の事、ただの挨拶すら出来なければ、お客様との信頼関係も、作業員同士のチームワークも悪くなり、現場全体の雰囲気が暗くなります。これでは事故を遠ざけるのでは無く、むしろ呼び込んでしまう事になると考えます。無事故で、品質が良く、生産性の高い仕事をする為には、技術力もさる事ながら、「成熟した心」を育てる事がいかに大切な事かを理解してもらう事が大切です。中でも人付き合いの基本となる「挨拶」がいかに大切かを社員に言い聞かせ、命令するのではなく、成功体験させることだと考えています。

　会社には様々な性格を持った社員がいます。中には当然出来る人もいれば、恥ずかしながらでも小さな声で挨拶する人もいますし、全くと言っていい程出来ない人もいます。ただ一日1㎜ずつでも前進できれば、より良い企業風土が育ち、お客様により良い施工が提供出来ると確信しております。